梅雨が始まると雲霞(うんか)の如く、茶畑に出現するチャノミドリヒメヨコバイ。
この緑姫、お茶の葉の上で横歩きで葉の裏に素早く隠れるすばしっこいセミの仲間の虫です。
一般茶農家には、田んぼのウンカと同様に害虫扱いし、農薬を散布して敬遠します。
吸害に遭うと新芽が下の写真のようにいじけて枯れてしまうからです。
ところが、実は、この茶のウンカの吸害にあった茶葉で作られた紅茶が、世界の紅茶ファンを魅了する芳醇な香気があるダージリンのマスカテルフレーバーや台湾の東方美人茶などの蜜香であることがあまり知られていません。
ウンカは地域や作る人によって、害虫ではなく益虫になったりします。
小園の茶畑でも、農薬を撒かないので、二番茶芽のほとんどがウンカによる吸害で伸びずにとまりました。
機械のハサミで摘採するには芽が短いので、手摘みで品評会用のウンカ芽の紅茶を作りました。
ウンカ芽茶葉での製茶中、一番茶期の萎凋(いちょう)の香りとは違うとてもよい香りが漂っていました。
手摘みなので一般販売できない大変稀少な高級茶ですが、やぶきた種でもこのようなダージリンに劣らぬ美味しい蜜香紅茶ができることがとても自信になりました。※
あと、7月初旬に二番茶遅れ芽で何回か製茶予定です。
梅雨が空けるまで、ウンカ様にはしばらく茶園にごゆるりと滞在して頂きます。
※この紅茶は、サルトリイバラ喫茶室さんにて飲むことができます。
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